Police
普段あまり厄介になりたくない組織の一つに警察がある。
日本では都道府県単位に警察本部がある。東京都なら当然警視庁であるが、街を走っているパトカーには全て「警視庁」と書かれている。それぞれのパトカーはどこかの警察署またはいずれかの交通機動隊に属しており、その表示を見れば所属が分かる。カラーリングが白黒で統一されているのは言うまでもない。赤色回転灯の仕様も共通だ。
ところが、である。Bethesda や Rockville あたりで生活していると、実に多様な警察を見かけるのである。MD State police(MDSP)、Montgomery County Police Department(MCPD)、Rockville City Police Department(RCPD) のほかに Sheriff のクルマも見る。パトカーは全てカラーリングも仕様も異なる。
組織は、MDSP の下に MCPD があり、さらにその下に RCPD があるのだとすれば、警視庁の本庁 - 方面本部 - 警察署 という例えに近いが、日本ではそれぞれパトカーを持っているというわけではない。もしそのようなパトカーが存在するとすれば、東京のある区では、その区の所轄警察のパトカーが巡回しているのと同時に方面本部所属のパトカーも巡回し、本庁のパトカーも巡回しているということになるわけだが、日本はそういう風にはなっていない。
こちらはそれぞれがパトカーを持っており、例えば Rockville だと、上の全てのパトカーを見かけるのである。そもそも組織上、RCPD が MCPD の下部組織であるというわけでもなく、MCPD が MDSP の下部組織だというわけでもない。それぞれ独立した自治体である MD State、Montgomery County、Rockville City のそれぞれが独自に police department を持っているということなのである。そういうわけで Rockville には次のような警察署がある。
MDSP Barrack N(MDSP N 分署)
MCPD 1st District Station(MCPD 第1分署)
RCPD
色々調べてみたのだが、どの警察がどの業務を分担しているのか結局良く分からない。ただ、MCPD と RCPD のページを見ると、emergency 時の電話番号は 911 で共通している。つまり、911 にかけると、MCPD と RCPD の共同指令センターのようなところにかかるのであろう。一方、非 emergency 時の電話番号は、それぞれ別の番号が書いてある。一方 MDSP では、「非常時は 911、それ以外はこちら」という表示がなく、各 Barrack ごとの電話番号が書いてあるだけだ。では、非 emergency の場合、これら3つの警察のどれに電話をすれば良いのであろうか?
クルマを運転していて、事故を起こしたり起こされたりした場合、保険の処理のために事故証明書が必要なのは日米とも一緒である。日本であればこの事故証明は、事故現場を所轄する警察署で取得できる。所轄の警察署は当然1つしかないので、どこに行くべきか悩むことはない。ところがこちらでは、上の3つの機関ともそれを発行するらしい。事故証明(police report)は、実況検分の結果に基づいて発行されるわけだが、3つのうち実況検分を行った警察が発行するのだろうと「推察」する。ではそもそも、どの警察が実況検分を行うのか? 人身事故でない場合、通常、連絡先は 911 ではない。従って非 emergency の番号にかけることになる。非 emergency の番号は3つの警察で異なるので、要するに最初にどの警察を呼んだかで決まるのではないかと思う。しかし、である。例えば Rockville であれば上の3つとも番号はちょっと調べればすぐ分かる。しかし事故現場でそれを初めて調べるのは無理がある。事故は Rockville で起こすと決まっているわけではなく、旅行先のアリゾナの名前も知らない土地で起きるかも知れないのに、それを前もって調べておくのは不可能である。このあたり、実際にはどうなっているのだろうか? 今もって不明である。
ところで、映画やテレビで舞台となる警察と言えば、LAPD か NYPD である。これはどちらも city police だ。大きな市では自前の警察を持っているということだろう。Rockville City は Maryland 第3の市で(と言っても人口は 55,000 人しかいない)、そのため規模は NYPD の何百分の1しかないものの、自前の警察を持っているのだろう。Maryland 第1の都市である Baltimore にも、第2の市である Gaithersburg にもそれぞれ自前の警察がある。ところが、例えば Rockville の南隣の Bethesda には自前の警察がない。従って Bethesda は MDSP と MCPD がカバーするのだろう。
ところが、county police というのは、全米でも 80 しかないそうで、その多くが大都市周辺のメトロエリアに存在するようである。一見すると東海岸が多いようである。数え間違いはあるかもしれないが、州別に多い順に並べると、Georgia (11)、Virginia (10)、New York (6)、Maryland (6)、New Jersey (5)、Pennsylvania (4) などとなっている。
逆に言えば、全米でもそれ以外の場所では county police は存在しないわけで、自前で city police を持てるほど大きな市もそうそう多いわけではないことからすると、全米の殆どを占める中規模以下の市では、state police しかないのが普通なのであろう。
一方、sheriff のクルマも見かけると書いた。Sheriff とは保安官のことかと思っていたが、選挙で選ばれる county の最高職だそうで、司法権と警察権を持つ「郡保安官」なのだそうだ。現実問題、この sheriff の役割は州によって随分違うらしいが、税金を徴収したりもするらしい。また county police があるような場所では、sheriff の役割は随分軽減され、county court の運営専門だったりするらしい。逆に田舎町であれば、きっと昔の西部劇のように、今でも警察権をもつ信頼のおける「保安官」なのだろう。が、ここ Montgomery County ではどうなのだろうか。まして city police まで存在する Rockville では?
Montgomery county から1歩南に出ると、そこは DC である。全米でも DC は特別なところで、その中には county もなければ city もない。ホワイトハウスの住所は、1600 Pennsylvania Ave, Washington, DC 20500 などと表記する。比較のために NIH の住所を書いてみると、9000 Rockville Pike, Bethesda, Maryland 20892 となるわけだが、あたかも DC という州があり、その中に Washington という city があるかのような表記である。現実問題、DC は city でもあり county でもあり state でもあるようなものである。警察はというと、当然1つの組織しかない。Metropolitan Police Department という。これを略すと MPD になり、実際そのような表記も見かけることはあるが、通常は MPDC である。パトカーにもそのように表記されている。NYPD のパトカーの数は唖然とするくらい多いが、MPDC も負けじと多いように見受けられる。平日も休日も本当にサイレンを鳴らして走るパトカーが周囲に常時1台はいるのではないかと思うくらいうるさい。
ちなみに、上のように行政区域ごとに存在する警察のほかに、行政府の建物を警備する Federal Protective Service、郵便局の建物や車両などを警護する postal police、国立公園を警護する Park Police、アムトラックの駅・車両を警護する Amtrak Police のようなものもある。さらに NY などの大都市では、特定の施設を警護する New York City Port Authority Police や MTA police のようなものもある。この界隈だと NIH Police というのがある。捜査権限などがどのようになっているのかは全く分からない。
いつぞや、MPDC から手紙が届いた。知らないうちにスピード違反をしていたようだ。きっちりオービスに写っていた。17 マイルオーバーで 80ドルくらいの反則金を払ったが、面白いことにこちらのオービスは、車両通過後、後から撮る。だからかどうか分からないが、ドライバーの特定が出来ない。よってクルマの所有者が反則金を払う。ドライバーの免許が汚れることはないのはありがたい。さらに面白いと思うのは、この反則金の支払は、チェックを郵送しても出来るが、オンラインで支払うこともできる。オンラインで支払う場合はクレジットカードも使用できる。
クレジットカードは MVA や郵便局などでも使用可能で実に便利なのだが、公金をクレジットカードで支払うというのがいまだちょっとピンと来ない。逆に、日本もそうしてくれれば非常に便利なのだが。先日、在ワシントンの日本大使館でパスポートを発行してもらったが、費用の 142 ドルは現金かマネーオーダーのみ受け付けるとのこと。100 ドルを超える現金など久々に持ち歩いた。
まあ反則金の支払は簡単だが、警察にはなるべく厄介にならないようにしたい。
| 固定リンク
「文化・芸術」カテゴリの記事
- English Thinking of Numbers(2008.11.13)
- Logical English?(2008.11.08)
- Police(2008.11.06)
- American System of Units(2008.10.31)
- Bank(2008.10.24)
