Parallel Parking
運転免許の実技試験は、実際の道路で一般車に混じって行われる州も多い(隣の Virginia がそうである)ようだが、Maryland では専用のコースで行う。従って試験中に他の車と遭遇することはない。
実技試験そのものは非常にシンプルである。16歳になった高校生が始めて試験を受けるときはどうだか知らないが、少なくとも海外の免許を持っており、それをもとに MD 州の免許を申請する場合は非常にシンプルである。縦列駐車、方向転換、直線バックの3項目だけである。直線バックは言うまでもなく、ゆっくりとただまっすぐバックするだけだ。方向転換とは、10メートル四方くらいのマスの中で、そこからはみ出ないように切り返しを繰り返して 180度方向を転換するだけだ。一定時間内にやらなければならないが、これも特に難しいことはない。
さて問題は縦列駐車である。日本人はこれが苦手だということになっているが、確かにそうらしい。MD の規定では、3分以内に路肩から1フィート以内に寄せなければならない。なお、1回で入れなければならないわけではなく、3分以内なら切り返し等自由である。筆者はとりたてて縦列駐車を苦手と感じたことはないが、普段東京で生活していると、実際に縦列駐車をすることはさほど多くない。そもそも平日にクルマに乗ることはないので、運転するとしても週末だけだ。また駐車禁止の場所が多いので、レッカーされるくらいなら、数百円の料金を払っても有料駐車場に停める方を選ぶ。駐車場の区画は通常横一列になっているので、従って縦列駐車を実地にやるチャンスは少ない。
それが、アメリカでは事情がかなり異なる。日本でも珍しいわけではないが、パーキングメーターが実に多いのである。DCの中や、MD でも都市部では、朝夕のラッシュ時は駐車禁止、昼間は有料だが2時間まで駐車可、夜間と休日は無料で時間制限なく駐車可というようなところが多い。また住宅地では、パーキングメーターはなく、昼間は2時間まで駐車可、夜間や住民のみ駐車可というところも多い。これらの場所で駐車するときは、当然縦列駐車になる。
この衛星写真は White House と Washington Monument の間の Constitution Ave を写したものである。撮影日時が不明であるが、両側にびっしりと駐車車両があることが分かるであろう。休日に車で DC に行くと、駐車場所の確保が大変である。まあ National Mall を2、3周もする気なら by chance でちょうど空いたスペースを見つけることが出来るものでもあるが、目的の場所まで随分離れた場所だったりする。
かような状況であることから、こちらでは縦列駐車は必須テクニックなのである。記憶では確か上の写真の Constitution Ave はパーキングメーターが設置してあったと思う。パーキングメーターが設置してあれば、路上も白線で区画されており、無料だとしても普通はその区画内に駐車する。従って車両間の間隔は適正に保たれ、神経質になる必要はない。しかし、パーキングメーターのない場所では、車両間の間隔は、各ドライバーが決めることになる。小さいクルマがどいた後、少し大きなクルマが入ったなどの色々な事情で、恐ろしく小さな間隔で駐車しているのを良く見かける。前後とも 10センチほどしかないのでは? と思うような場合もある。傍で見ていると、自分のクルマがギリギリ入るスペースを見つけ、実際に縦列駐車を難なく決めてしまうアメリカ人が多いのに非常に驚く。室内のバックミラーのみで、後のクルマとの間隔数センチというところまでバックしたりする。また、縦列駐車ではないが、駐車場で前からでも後からでも壁まで3センチというところまでギリギリに寄せて停める。
これは、当初、アメリカ人は予想に反して運転がうまいのかと思っていたが、根拠はないもののどうやらそういうことではなさそうな気がしている。筆者の勝手な推測であるが、目が良いのではないだろうか。眼鏡をかけている比率は日本人に比べて圧倒的に少ない。が、視力が良いということではなく、奥行のつかみ方に長けているのではないだろうか、ということである。欧米人はもともと狩猟民族だったから動体視力と深視力が良いという話は単に思いつきというには説得力がある。しかし、深視力が良いだけでは説明がつかない。プラスして空間認知にも長けているものと思う。幾ら深視力が良くても自車のバンパーを直接目で捉えることはできないからである。
縦列駐車ではなく、運転そのものはどうかと言うと、「信用ならない」というのが正直なところだ。ウインカーを点滅させたまま走っているクルマの何と多いことか。注意散漫ということだ。ウインカーを出さずに曲がるクルマ、またウインカーを出したまま交差点を直進するクルマ。信用できない。大体において MVA(MDの免許発行所)自身が、他人のウインカーを信用するなと言っているくらいだ。前はガラ空きなのに一向に加速しないクルマ。たいていケータイに夢中になっている。信号待ちの間、信号が変わったわけでもないのに少し進むクルマ。オートマ車でブレーキが疎かになった証拠である。これも注意散漫。
ところで昼間のヘッドライト点灯については、かなり履行率が高い。これは意識が高いということよりも、クルマの構造がそうなっていることが理由だろう。エンジンオン状態でサイドブレーキを解除すると自動的にライトオンになる仕組である。なお、「ワイパー使用時はヘッドライトオン」という州法がある。なかなか面白い視点だが非常に合理的であると感心した。筆者は Rain X を使用しているのであまりワイパーを動かさない。雨が降るとついライトオンが遅れる。
夜間ヘッドライトを点灯するのは当然だが、他車のヘッドライトが極めて眩しい。対向も後続もである。筆者のクルマが普通の乗用車であるところ、こちらでは大型の SUV等が数多く走っており、それらのヘッドライトの高さはまともに筆者の顔の高さに当たるからである。これらに後に着かれるとたまったものではない。
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