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2008年5月

2008年5月31日 (土)

Washingtonian

New Yorker という単語は日本にいても良く聞く単語である。"-er" という接尾辞は通常動詞について、「~する人」という意味に用いられるのは言うまでもない。Work について worker、run について runner などである。が、New Yorker の場合は地名である固有名詞 New York について「~住人」という意味になる。

ここで New York とは、Wikipedia によると、NY 州を指す場合と NY City を指す場合があると書いてあるが、日本的理解では NYC と理解されるものと思う。
同じ NY 州でも NYC とエリー湖に面した田舎町では全くイメージが違うのは言うまでもない。また同じ NYC でも Manhattan と Queens ではまたイメージが全く異なる。日本的理解では New Yorker と言えば Manhattan をイメージするし、もっと言えば Midtown をイメージするだろう。さらに限定すれば、概ね Park Ave と 7th Ave の間あたりをイメージするのではないか。あるいは、SOHO なども NY らしいかもしれないし、人によっては East Village を想像するかも知れない。Wall St も然り。Upper West や Harlem はどうだろうか。

しかしとにかく、Wikipedia によれば、英語ではそこまで細かく分類してイメージしないらしい。

ここでは New York City または Manhattan の住人と解釈することにするが、とすると New Yorker とは単に「New York に住む人」というより、「New York に住む都会人」というようなニュアンスを帯びていると思う。「東京人」というとどうだろうか。New Yorker に近いニュアンスが感じられる気がするが、この場合の「東京」も、東京のどこを指すだろうか。少なくとも檜原村は指すまい。山手線の内側などという言い方もあるが、23区内あたりがコンセンサスを得やすいところだろう。が、ひとくちに23区と言っても練馬区と港区では・・・

一方で「関西人」というとどうだろうか。「あーあいつ関西人だからなー」と言った場合に込められている印象は・・・ さらに一方、「関東人」という単語はあまり聞いたことがないが、敢えて書いてみると、なんだか田舎者とか無教養とか言う響きが感じられるのは私だけだろうか。「あーあいつ関東人だからなー」

都市名に接尾辞が付く例は、英語以外にもある。日本で誰でも知っているのが Parisien。「~住人」という意味で理解されてはいるとも言い切れないが、Frankfurter や Hamburger、Wiener などもある。英語に戻るが犬の種類で Pekinese というのもある。

都市ではなく地域に接尾辞が付く例もある。恐らくあまり知られていないが、「~の」とか「~住人」という意味の英語で、Hong Konese とか Taiwanese という言い方がある。

都市・地域でなく国のレベルまで行くと、接尾辞がついた形容詞型は必ず存在すると言って良い(一部国名以外も含む)。
Japan → Japanese
Korea → Korean
China → Chinese
Philippine → Philipino
England → English
America → American
India → Indian
Indonesia → Indonesian
Viet Nam → Viet Namese
Spain → Spanish
Brasil → Brasilian
Morocco → Morrocan
Peru → Peruvian
Salvador → Salvadoran
Malaysia → Malaysian

接尾辞としては "-ese"、"-an"、"-ish" などが一般的である。国名では例が少ないが冒頭に挙げた "-er" も同様の働きをしている。

さて都市名に戻って、都市名に接尾辞が付く例は、日本では上に掲げた例くらいしか通常お目にかかることはない。しかし、2年前に Bethesda, MD に越して来て、Washingtonian という単語があることを知った。形容詞型であるが、どちらかと言うと「DC の」というより「DC 住人」という意味である。同名の雑誌もある。東京 Walker のようなものである。Washington DC くらい大きな(というか特徴のある)市だと、形容詞型が存在するのかと知って驚いたものである。ところが、暫くして自分の住む Bethesda にも Bethesdan なる形容詞型が存在することを知ってたいへん驚いた。さらに Chicago には Chicagoan、Boston には Bostonian なる形容詞型が存在することも分かった。Maryland に対する Marylander や Kansas に対する Kansan もある。こうなってくると、地名なら何でも形容詞型が存在する(というか作れる)のではないかと思ってちょっと調べてみた。

「あまり使われないけれども、全くないこともない」という程度(google で 200 ヒットレベル)までをアリにすると、
Seattlean、Philladelphian、Los Angelesian、San Franciscan、Houstonian、Baltimorer などは発見できた。しかし都市名に関するこの手の形容詞型はどちらかと言えば一般的ではないようで、例えば隣の市の Rockville の形容詞型は発見できなかった。Rockvillian という単語はあったが、Rockville の形容詞型として用いられているのではないようであった。

州名ではどうかと言うと、Virginian や Pennsylvanian という単語はあるが、Delaware や New Jersey についてはお手上げと言ったところだろうか。Alaskan Salmon とは言うが、メーン州のロブスターは Maine Lobster としか言わない。バージニアのワインは Virginian Wine と言いそうだが実際は Virginia Wine としか言わない。そう言えば New York Strip Steak は New Yorker -- とは言わない。

はっきり分からないが、都市名の形容詞型は、主として「~住人」という意味になる場合が多く、従って形容詞的には用いられにくいようだ。国名の形容詞型は、「~住人」という意味の他に「~の」「~語」というような意味にごく普通に用いられるのは言うまでもない。その間の州名だと微妙で、形容詞型が形容詞としても用いられる場合と「~住人」という意味にしか用いられない場合があるように見える。この辺の使い分けに規則性があるようには見えない。

あらためて意識して見ると、なかなか面白い発見であった。

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2008年5月15日 (木)

Bus

毎日クルマで通勤していて、ここは日本ではないかと思うくらい日本車が多い。実感としては半数以上のクルマが日本車なのではないかと思うくらいである。全米平均の日本車シェアは 36.9%(2007年:データ:モーガン&カンパニーInc.) とのことなので、実感とは若干の乖離がある。日本車の中では、トヨタ(16.2%)、ホンダ(9.6%)、日産(6.6%)、マツダ(1.8%)、スバル(1.2%)、三菱(0.8%)、スズキ(0.6%)、いすゞ(0.0%)という順になっており、やはり日本の動向とは異なるようだ。三菱よりマツダ・スバルが上というのは面白い。

しかし、ひとくちに日本車と言っても、少々様子が異なる。例えばこちらのトヨタ車には Tundra という車種があるが、これはこちらの市場特性に合わせた、巨大なピックアップトラックで、日本にはない(並行輸入されているらしいが)。日産車では、こちらではスカイラインを見たことがない。
全般に、Tundra のようにピックアップトラックが多いことと、大型 SUV の比率が高いと思われることなどが道路を走っていて日本と違うなと感じるが、さほどの違和感があるわけでもない。

トラックについては、日本車のシェアは 36.9% よりも遙かに低いと思われる。Isuzu と Fuso は見かけることはあるが、決して多くない。それより不思議なのはバスで、日本車のバスは1台たりとも見たことがない。

逆に日本でアメリカ車のバスは走っていないであろう。バスに限定すると、貸切バスや高速バスのようなタイプを除き、日米でかなりデザインや文化に差があるように感じる。文化が違うから相互に輸出をしないのか、輸出しないから文化が違うのか分からない。

まず路線バス。モンゴメリーカウンティの Ride On バスはこんな車体をしている。
Rideon
日本との違いを感じるのは、ロングシートでないことと、先端に自転車を乗せるラックがついていること、乗降口が前端部の1箇所しかないことなどである(中央部にもあるが使用されない)。もっとも日本でも都市部以外では自転車のラック以外は同様と言える。
ところが同じ路線バスでも、「通常の車体」でない、このような車体がある。
Rideon2

少々小さいので、路線バスではないが同様のバスの写真を載せる。
Cutaway

明らかにトラックから荷台を取り去り、客室を載せなおしたようなものである。大型バスを使用するほどでない場合に良く用いられれ、下の例のようにホテルのシャトルや、コミュニティサービスなどに用いる場合が多い。ニュージャージーなどでは、New Jersey Transit がカバーしていない地域と New York を結ぶ補完的な路線が数多くある。
Radisson

実はこれは、トラックから荷台を取り去ったのではなく、stripped chassis に客室を載せたものである。Cut-away bus と呼ばれるようである。何を cut-away したかと言うと、chassis の状態であれば存在している運転席後部の壁と窓を取り払って客室とつなげたということらしい。この stripped chassis に荷室をとりつければ通常のトラック、救急室をとりつければ救急車になる。
Ambulance

仲々合理的だと思うが、この cut-away bus、筆者が大変問題だと思うのが、乗り心地が悪いことである。それも、非常に悪い。考えて見れば、トラックに使えるシャーシをそのまま使っているわけだから、しごく当然である。調べずに書いているが、恐らく非常に硬い板バネが用いられているに違いない。路線バスであれば料金箱がついているが、これが振動し続け、非常にやかましい。窓枠やイスも振動してうるさい。

上で書いたとおり救急車もこのシャーシを用いているので、これでは救急搬送中の患者はとてもかなわないのではないかと想像する。

さらに同じシャーシを用いてスクールバスを作る場合もある。
Schoolcut

時に、スクールバスはつい最近まで良くおなじみのこんなものであった。
Schoolfront

何故かスクールバスだけがフロントエンジン(日本で言うボンネットバス)であり続けた。まだまだ数多く走っているが、路線バスと同じような現代的な形式のものも良く見かけるようになった。
Schoolrear

話を路線バスに戻すが、日本と違うのはバス本体だけではない。停留所に名前がないこと、時刻表がないこと、路線図がないことなどである。Ride On の場合はたいていメトロの駅が基点・終点・中継点になっているので、駅構内に時刻表と路線図は路線ごとに常備されており、それを一部持ち帰れば良い。停留所に名前がないのにどうやって時刻表が作れるのか。時刻表のサンプルはこちら

駅等のランドマーク以外は、多くの場合交差点(East West Hwy & Washington Ave 等)で表示するケースが多い。しかし路線上の主要な地点についてのみしか表示されておらず、個々の停留所についてはその両側の地点の時刻から推測するしかない。実際、停留所に行って見ても、時刻表は表示されていない。時刻どころか停留所の名称も表示されていない。というより、そもそも名称がない。また、停留所には路線番号は表示されているが、行先は表示されていない。

従ってバスを利用して目的地に行くためには、いきなりバス停に行ってもダメで、予めインターネットかメトロの駅等で路線図・時刻表を入手しておく必要がある。これは Ride On に限らず、DC のメトロバスも、New Jersey Transit も同様である。
DC や NJ はメトロや鉄道が比較的公共交通として機能しており、駅というランドマークがあるためバスの路線も駅を起点としていることが多いが、他の地域ではどうなっているのだろうか。ことにインターネットが普及する前は路線図はどこに行けば入手できたのだろうか。謎である。

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