Amtrak
仕事で毎月1~2回、NY に行く機会がある。Bethesda から Manhattan に行くのに、良くAmtrak を利用している。Metro で Union Station まで出て、そこから Amtrak に乗れば、NY Penn Station に到着できる。乗り換えは1回だけ。所要時間は Metro が 35分くらい、Amtrak は Acela だと2時間 45分ほど、Regional だと3時間 15分程度である。国分寺から東京に出て、新幹線で新大阪まで行く感覚だ(NY が東京で、Washington が大阪と例える方が適切か?)。途中東京駅で弁当や新聞・雑誌を買うのも似ている。東京駅だと色々な弁当を売っていて楽しいが、こちらには弁当というものがない。ベーカリーでサンドイッチやロール、バーガー類を買うか、デリの店でテイクアウトするか、ピザ屋でピザでも買うか。Union Station 地下のフードコートからテイクアウトする手もあるだろう。Starbucks もあるが、いつも混んでいる。McDonald’s には間違っても行かない。Amtrak には Café Car も連結されているが、食事をここで買う気にはならない。
Acela は Amtrak のフラッグシップ的列車である。以下ちょっと Acela について調べてみよう。Amtrak の長距離列車には色々名前がついているが、この Acela は Boston – NY – Washington DCを結ぶ North East Corridor(以下 NEC)を走る Express で、唯一専用車輌が設定されている。この車輌は他のどの Amtrak 路線にも用いられていない。以下は Wikipedia からの抜粋である。
Acela の名称は 1999年に発表されたときは Acela Express、Acela Regional、Acela Commuter の3つが設定されていたが、acceleration をイメージする Acerla は Regional や Commuter にはふさわしくないとの理由で 2003年に Regional および Commuter からは Acela ブランドがはずされた。 Regional はただの Regional に、Commuter は Clocker と名称変更された。なお Clocker は 2005年に廃止になっている。
NEC は米国の中で最も主要な路線であり、乗客の 2/3 は NY市民であり、Penn Station を Home station としている。航空機との競争力をつけるため、Amtrak は高速化を必要としていた。しかしながら New Haven ・ Boston 間はカーブもきつく、踏切も存在するため、通常の車輌では高速化が図れずにいた。
1996年、Amtrak は Bombardier と Alstom の JV に対して 150 miles/h で走行可能な車輌の開発を委託した。当初 1999 年内を目指していたプロジェクトは諸々の理由で遅れ、Acela は 2000 年 12 月 11 日に運用開始となった。同時に New Haven ・ Boston 間の電化も完了し、Boston ・ NY 間は約1時間短縮の3時間半強、NY ・ Washington 間は2時間半で結ばれることになった。2001年9月 11 日以降は航空機のセキュリティ強化もあって、Amtrak の優位性がより高まることとなった。
Acela の最高速度は 150mph で、これは Rhode Island と Massachusetts の、合計 18 miles の区間で設定されている。New Haven の東ではかなりの距離について、最高速度が 110mph から 125mph に増強された。NY より南では、最高速度は 135mph に抑えられ、125mph となっているところも多い。直線距離が十分長く、通常なら 150mph に設定されそうな箇所でも、大恐慌時代に作られたインフラが残っているためである。
NEC のうち最も遅い箇所は、New Haven ・ Rochelle 間の、Metro-North Railroad および Connecticut Department of Transportation の所有になる区間で、NY 州内の4マイル区間について 90mph に制限されており、また NY 州境から New Haven の間は 75mph に制限されている。また Metro-North および CDT 管内では車体の傾斜が禁じられている。最も幅の広い車体が最大角度で車体を傾けると、並行する軌道を走る車輌と 10 インチしか幅がなくなってしまう。CDT は架線・橋梁の架け替え等により New Haven 線を Acela が 150mph で走行できるように改善した。
最速の Acela は Washington を 5:00 に発車する列車で、Boston South 駅まで所要6時間 36 分で結ぶ。NY における 15 分間の停車を含み、平均速度 72mph になる。
2007年7月9日、NY ・ Washington 間を結ぶ Acela に、Philadelphia のみにしか止まらない設定が登場した。NY 6:50 発Washington 行きの所要時間は2時間 35 分である。
編成の両端についている機関車の出力は 6,000 馬力であり、交流 11,000 ボルト・25Hz を電力とする点はフランスの TGV と似ているが、TGV に由来するのは1台あたり4基の非同期交流モーターだけである。機関車・客車とも北米の安全基準に対応するため、TGV よりはるかに重い。また同様の理由で出入口にはタラップが取り付けられておらず、高いプラットフォームのある駅にしか停車できない。これは Acela が NEC 以外に用いられない理由のひとつでもある。
車輌の編成は、機関車2台、bistro car、first class car に business class car が4両で半固定運用である。First class car の座席は 44 席で、260 のbusiness class 席よりも広くて快適である。
以上が Wikipedia の抜粋であるが、Acela には1度しか乗ったことがない。NY ・ Washington 間だけで考えれば、所要が 30分しか違わないのに、料金が場合によっては3倍も違うからだ。こちらの料金設定は日本よりもバラエティに富んでおり、同じ Acela の同じ区間でも、時間帯によって料金が違う。例えば明日(1/30)の Wash 7:00 発だと $209、8:00 発で $188、9:00 発で $167、10:00 発で $146 である。これに対して Regional だと 11:30 発の $69 を除き $98 である。
以下、主として Regional について書いてみよう。まず、切符を買うところから。いつもはインターネットで購入している。利用日の3日前までに購入すれば AAA(日本で言う JAF)割引で 10% ディスカウントが受けられる(Acela には適用なし)。筆者は通常決済までインターネットでしておき、駅の自動販売機でピックアップ(プリント)する。アメリカのご他聞に漏れず、有人窓口には長蛇の列なのに、自動販売機はいつもガラガラだ。切符を買うにも何か言わなければ気がすまないらしい。Washington Union Station から乗車するときは、相当前から発車番線が表示されていて、遅れその他もちゃんと表示されている。が、NY Penn Station から乗車するときは、発車時刻の 15分ほど前にならないと発車番線が決まらない。NY Penn Station は全米一忙しい駅で、Amtrak のほか、NJ Transit や Long Island Rail Road も目まぐるしく発着しており、そのどれもが日本並みの定時運行が出来ないためだ。NY Penn Station では、Amtrak にしろ、NJ Transit にしろ、LIRR にしろ、発車番線が決まるたびにその番線に通じる改札口に乗客が殺到するという光景が見られる。NY も DC も、発車番線への改札口は1箇所だけ。航空機と同じだ。そういえばチケットの形状も航空機そっくりである。
さて Regional も Acela も、チケットを持っていなければ改札口を通過できないが、その後は、実は席の指定はない。が、sold out は発生する。つまり、席の総数分だけはチケットを発行するということらしい。Acela は first class と business class、Regional は business class と coach class があるから、買ったチケットに相当するクラスの車両にさえ乗れば、その中のどこに座っても良い。ただし Regional の coach class には(もしかしたら Acela にも)Quiet Car が存在するので要注意。要注意というより、筆者は基本的にこの車両にしか乗らない。ケータイ禁止、車中のおしゃべりもひそひそ声で、という車両である。実際、Quiet Car 以外の車両では、ケータイの会話がうるさくてかなわないということが少なくない。どうもヒマ潰しにどうでも良い内容を延々と喋っているとしか思えないことも多い。煩いのは男女ともだ。
Regional で不思議なのは、常に先頭が機関車(これはまあ当然か)、次が business class、次が Café Car、そして coach class が5両ほどとなっており、その最後尾が quiet car となっている。終着駅に着く度に編成を組み変えるとはとても思えないが、いつもそうなっているのが不思議で仕方がない。
適当な車両に席を決める。発車してしばらく経つと、車掌が検札に回ってくる。日本の検札同様、パチンパチンとはさみを入れ、今度はまさに飛行機の切符と同じように、右側の小さい部分を切り離して返してくれる。この際、決済方法がクレジットカードだと、左上の署名欄にサインを要求される。そして、荷物棚のちょっとした隙間に、「行先票」のようなものを挟んで行く。これは、この席に座っている乗客が検札済みであることと、同時に降車予定駅も表示している。だから親切な車掌の場合、降車駅が近づくと、その旨教えてくれることもある。走行中、もし席を移る場合にはこの票を持って移動しないと厄介なことになる。
Acela のみならず Regional にも、座席には交流 120 ボルトの電源がついている。Regional では中央通路の左右に2人ずつ席があるが、コンセントはその2人並び席あたりに1つだけというケースが多い。PC を持ち込んでいる乗客は多いが、それに mobile broadband adaptor をセットしておけば、Amtrak で移動しながらインターネットをすることも出来る。
走行中、物凄いスピードだなと思うことは良くあったが、NY・Washington 間のスピードは Acela で最大 135mph と聞いて納得した。Regional でも大方 200km/h 近く出ていると思われる箇所は多い(実際のスピードは知らないが)。
それと、車内で PC をいじっていて思うことが多いのだが、窓の遮光性能がいつも気になる。窓には基本的にスモークが入っている。従って車外から車内を除いてもあまり良く見えない。それは良いとして、そのためか、日本の特急なら普通に装備されているカーテンがない。スモークは太陽光を遮光するほどには強くないので、午後南西方向に走ると、太陽が恐ろしく眩しい。
そのくせ室内の照明は、それが住宅でもホテルでも、地下鉄の駅でも地下鉄車内でも、間接照明が基本である。ヨーロッパでもアメリカでもそうだ。Amtrak 車内も同様である。そのため、地下駅である NY Penn Station 停車中など、車内は相当暗く、不気味に思うほどだ。
車内のアナウンスは日本とほぼ同様だ。DC メトロにしろ NY メトロにしろアナウンスする運転手(NY は車掌)によって言っていることが相当違うが、Amtrak は訓練されているのか、だいたいどの便に乗っても同じことを言う。Next stop will be Newark, New Jersey. Your belongings を忘れるな、gap between train and platform に注意しろ、等。
Amtrak を降りると、DC でも NY でも出口改札は特にない。思い思いに地下鉄などに乗り換えて行く。
DC Union Station は、上野のように床の高い終端式ホームが過半数で、旅情を誘う。また DC 以南とを結ぶ Regional は、床の低いホームに発着し、ドアからはタラップを降ろすので、これもまた映画の気分である(Acela にはこの設定はない)。
アメリカは車社会であり、また航空機社会であるのだが、NEC だけは、ちょっとだけ鉄道旅行も楽しめる場所なのである。
| 固定リンク








